「最強AI」と聞くと、なんでも賢くこなしてくれそうな気がします。でも、本当にそうなのでしょうか。
ちょうど今、その最強AIを期間限定で試せる機会があったので、プログラミング初心者の私が、実際に確かめてみることにしました。やり方はシンプルです。「最強AI」と、これまで私がふだん使ってきた従来のAIに、まったく同じアプリを3つ作らせて、出来上がりを比べてみる——というものです。
結論を先に言うと、こうなりました。簡単なものでは、ほとんど差がつきませんでした。ところが、複雑で”作り手の判断”が多いものになると、はっきり差が出たのです。
この記事は、専門知識のない私が実際に手を動かして試した、等身大の検証記です(情報はすべて2026年7月時点のものです)。
そもそも「最強AI」って何?
先に、この記事で「最強AI」と呼んでいるものについて、少しだけ説明させてください。
Anthropic(Claudeを作っている会社)は、これまで上位とされてきた「Opus(オーパス)」の、さらに上に「Mythos(ミュトス)クラス」という新しい区分を作りました。その最上位クラスの能力を、一般の人でも安全に使えるよう仕組みを付けて公開したのが「Fable(フェイブル)」です。だからこの記事では、Fableを「最強AI」と呼んでいます。
Fableがどんなモデルなのか、料金や使いどころも含めた詳しい話は、前回の記事にまとめています。あわせてどうぞ → Claude Fableとは?Opusとの違いと使い分け
そして今回の記事は、その続きです。前回は文章の整理を任せて比べましたが、今回は「アプリを実際に作らせたら、どうなるのか」を試してみました。
試したこと:同じアプリを3つ、両方に作らせる
今回くらべたのは2つのAIです。いま話題の「最強AI」=Fableと、これまで私がふだん使ってきた従来の上位AI=Opus。この記事ではそれぞれを「Fable」「Opus」と呼びます(細かいバージョンの数字は変わりやすいので省きます)。
同じお題・同じ条件で、次の3つのアプリを作らせました。
- 献立ツール(簡単なタスク)
- ローグライクRPGというゲーム(複雑で、作り方の自由度が高いタスク)
- 数独アプリ(複雑だけれど、正解が一通りに決まっているタスク)
わざと「簡単なもの」「複雑で自由なもの」「複雑だけど答えが決まっているもの」を混ぜたのがポイントです。タスクの性質によって差の出方が変わるのか、を見たかったからです。
実験1:献立ツール(簡単)→ ほぼ互角、むしろOpusが工夫
まず、簡単な献立ツールから。
結論、大きな見た目の差はなく、両方ともきちんと動くものができました。Fableのほうは、データのバックアップが取れるような工夫を入れてきて、そこは良かったです。
ただ、今回のケースで「おっ」と思ったのは、むしろ従来のOpusのほうでした。Opusは、料理の名前から種類を自動で判定する作りにしてきたのです。たとえば「唐揚げ」と打てば揚げ物、「プロテイン」と打てばたんぱく質、というふうに、100以上のキーワードをもとに種類を推測してくれる。しかも「自動で判定するか、自分で選ぶか」の両方に対応していました。名前を打つだけで種類を分けてくれるのは、地味ですが気の利いた工夫だと感じました。
簡単なタスクでは、最上位のFableだから一方的に上、というわけではない。むしろ従来のOpusが、細やかな工夫で応えてくることもある——というのが、この実験での実感です。
(なお、どちらのツールも、カロリーは自分で入力する必要があり、そこはまだ改善の余地がありそうでした。)
実験2:ローグライクRPG(複雑・自由度が高い)→ Fableが明確に上
次に、いちばん差が出たローグライクRPGです。ローグライクは、入るたびに地形が変わる、探索型のゲームだと思ってください。作り方の自由度がとても高いタスクです。
ここでは、Fableのほうが明確に上でした。何がというと、難易度の調整がしっかりしていたのです。実際に自分で遊んでみて、ちゃんと難しかった。歯ごたえのある、遊べるゲームとして成立していました。作り手としてではなく、遊び手として「お、これは手強いな」と感じられたのが、いちばんの差でした。
細かいところでは、階層を降りる操作にも違いが出ました。Opusは「降りるボタン」が常に画面に表示されるつくり、Fableは「階段を踏むと強制的に降りる」つくり。これは正直、どちらが良いというより好みの問題だと思います。ただ、同じお題を渡しても、こういう”作りの解釈”が分かれるのは面白いところでした。
複雑で自由度の高いタスクほど、AIごとの判断の差が積み重なって、仕上がりに違いが出る。それを体感した実験でした。
実験3:数独アプリ(複雑だが正解は一本道)→ 使う側では差がわからなかった
最後に数独アプリ。これは複雑ではあるものの、数独という性質上、正解が一通りに決まっているタスクです。
こちらは、実際に遊んでみても、見た目や使い勝手の差はほとんどわかりませんでした。どちらもふつうに数独として成立していて、使う側の私には「こっちが上」という感覚は持てませんでした。
作られたコードの中身を細かく見比べれば、小さな作りの違いはあったようですが、遊ぶぶんには差を感じない。正解が一本道のタスクでは、最強AIでも従来AIでも、仕上がりはそう変わらない——というのが、この実験での実感です。ある意味これも、差が出なかったこと自体が、ひとつの答えでした。
3本勝負の結果まとめ
3つの実験を並べると、きれいに傾向が見えてきました。

- 献立ツール(簡単):ほぼ互角。むしろOpusが自動判定で工夫。
- ローグライクRPG(複雑・自由度が高い):Fableが明確に上(難易度がしっかり)。
- 数独アプリ(複雑だが正解は一本道):使う側では差がわからなかった。
ここから見えてきたのは、差が出るのは「複雑」かつ「作り手の判断や自由度が多い」タスクだ、ということです。逆に、簡単なタスクや、正解が決まっているタスクでは、差が出にくい。今回の3本は、たまたまその3パターンをきれいに引いた形になりました。
もちろん、これはあくまで私が試した今回のケースの話です。各アプリを一度ずつ作らせただけなので、「Opusのほうが劣っている」と一般化するつもりはありません。あくまで「こういうタスクでは差が出て、こういうタスクでは出なかった」という、一例としての観察です。
まとめ:最強AI=なんでも上、ではなかった
最後に、私なりの結論です。
「最強AI」と聞くと、どんな作業でも上だと思ってしまいがちです。でも実際に同じアプリを3つ作らせてみると、簡単なものや答えが決まっているものでは差が出ず、複雑で自由度の高いものでこそ、その実力が見えてきました。しかも簡単なタスクでは、従来のOpusのほうが気の利いた工夫をしてくることさえありました。
だから大事なのは、「最強だから全部これ」ではなく、タスクの性質に合わせて使い分けることなのだと思います。込み入っていて、作り手の判断がたくさん必要な仕事でこそ、最強AIの出番。そうでない場面は、従来のAIで十分こなせる。モデルの使い分けについては、こちらの記事でも詳しく書いています → Claudeのモデルの違いと選び方
Fable 5は、2026年7月1日の復旧後、Pro・Max・Teamなどの有料プランで週次上限の最大50%まで追加料金なしで使える「お試し期間」が設けられました。ただしこの期限は延長が繰り返されており、当初2026年7月7日まで→7月12日→7月19日と2回延長されました(2026年7月17日確認時点/日本時間では7月20日15:59まで)。以降は「usage credits(従量課金)」に移行し百万トークンあたり入力$10・出力$50で課金される予定ですが、再延長の可能性もあるため、最新の期限はAnthropic公式のお知らせをご確認ください。
※本記事の情報(Fableの位置づけ・提供条件など)は2026年7月時点のものです。提供条件や仕様は変更される場合があるため、最新情報は公式の発表でご確認ください。


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